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債務整理の方向性を考える際の判断基準

債務整理には、任意整理、自己破産、個人再生という種類がありますが、どの手続きで進めていくかを決める際に、いくつか判断基準があります。以下、主なものをご紹介したいと思います。

 

1.ローン支払い中の車をどうしても残したい


 

自己破産、個人再生を行う場合、ローンが残っている車については、原則手元に残すことができません。(ローンを組んでいる会社に返還する必要があります。)交通の便がよい地域にお住まいの方の場合は、車がなくても少し不便という程度かもしれませんが、車がないと生活が成り立たないという地域もあります。また、お仕事で朝が早い、夜が遅いという場合、あるいはご家族に小さい子どもさんやお年寄りがいて、車がないとどうしても不便だという場合もあると思います。

 

今後ある程度経済的な余裕がある場合は、任意整理を選び、車のローンは手続きの対象から除外して今までどおり支払いを続けることで、車を残すことができます。車のローン以外の借入れについては、利息をカットして分割で支払っていけるよう、弁護士・司法書士が交渉を行います。

 

ただ、借入れの総額によっては、任意整理では月々の返済額が多くなってしまい、解決が難しいというケースもあります。自己破産や個人再生を選ぶ必要がある場合は、今後ご自身で車のローンを返済してはいけない(一部の債権者に対してのみ支払いをすることが禁止されています)ので、ご家族に自動車ローンを完済してもらって車を残す方法や、あるいは今乗っている車はローンを組んでいる会社に返還して安い中古車を購入するという方法もあります。

 

2.自分で作った借金だからどうしても返済したい


 

借金の総額、毎月の家計の状況から判断すると、自己破産が一番適していると考えられるケースでも、道徳的な意味で自己破産に強く抵抗を感じられる方や、なんとしてでも返済したいというお気持ちを持たれている方もいらっしゃいます。

 

今後も返済を続けていく手続きとしては、任意整理と個人再生が選択肢として挙げられます。任意整理では返済を続けることが難しい場合は、借金の元本を最大で100万円まで圧縮できる個人再生を選択されるとよいかもしれません。ただ、個人再生を行うためにはいくつか要件があり、なかでも毎月安定してご自身の収入があるかどうかという点がポイントとなります。そのため、お仕事をされておらず、また年金等の毎月決まった収入がないという場合は、その状況のままでは個人再生をすることができません。

 

借金を返済したいというお気持ちはとても理解できるのですが、任意整理にしろ個人再生にしろ、数年間は返済が続いていくことになりますので、家計の状況から見て本当に返済できるかどうかを判断することが大切です。

 

3.借金の返済はもちろん生活も厳しい


 

債務整理の方向性を決める際には、毎月の収入と支出の内容を詳しくお伺いするのですが、借金の返済額を支出から除いたとしても、かなり生活が厳しいのでは…とお見受けする方もいらっしゃいます。

 

どの債務整理を選択しても、現状より返済の負担が減ることは明らかですが、いま現在の家計の状況から、借金の返済額を全額除いたとしても生活が厳しそうだという場合は、債務整理とは別に今後の生活設計について考えていく必要があります。

 

たとえば、いま無職の方でしたら、何かアルバイトでもいいので始めていただき、毎月の収入を増やす努力をしていただくという方法があります。

 

あるいは、収入から見て、生命保険の毎月の掛け金が高額になっている場合は、生命保険を一部解約して、保険料が安い掛け捨てタイプのものに見直すということも可能でしょう。

 

あとは携帯電話や固定電話、プロバイダーの利用料金を見直ししたり、たばこやお酒の量を少し減らしたり、外食回数を少し減らすなど、小さな工夫を積み重ねると、家計に少しゆとりができるようなケースもあります。

 

このように家計を見直していただいたとしても、生活が厳しい場合は、生活保護を申請するという選択肢があります。憲法25条は、国民は健康で文化的な最低限度の生活がおくれる事を保障しているからです。当事務所では、自己破産の申請と同時並行で生活保護の申請を行うというサポートもしております。

 

債務整理の手続きが終わればいいのではなく、依頼者の方が借金で悩むことなく、かつ、安定した生活を送っていただけるようになるのが最終目指すべきところであると考えています。

 

家計管理のことや生活保護の点についてもご遠慮なくご相談下さい。

2014.09.30
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